2026年10月29日(木) / 海外一次情報を日本語で、随時更新

NBA放映戦略の転換、地上波90試合に拡大

NBAが放送パートナーに「試合そのものを届けよ」と要請、視聴率16%増の手応え

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薄暗い通路でカメラクルーの前に立つスーツ姿の男性の後ろ姿
イメージ画像(AI で生成)

NBAが放送各局に「議論より競技の魅力を伝える中継」を求めていると報じられた。地上波の放送枠は前季の75試合から90試合に拡大し、レギュラーシーズンの視聴率は16%増加した。

NBAがESPN、NBC、アマゾンの放送パートナー各局に対し、試合中継の方向性として「競技そのものの魅力を伝えること」を優先するよう求めていると、Awful Announcingのマット・ヨーダーが報じた。Hoops Wireが23日に伝えた。

ESPN、NBC、アマゾンとの放映権契約が2年目に入るなか、NBAのメディア担当幹部スコット・カウフマン=ロスは「われわれは競技を称え、視聴者に理解してもらう必要がある」と語った。リーグの短所をめぐる討論が中心になると、試合そのものが二の次になるとの問題意識がある。

各局が進めた中継の刷新

ヨーダーの報道によると、各局はそれぞれ独自の手法で中継の質を高めている。NBCはかつての人気テーマ曲「ラウンドボール・ロック」を復活させたほか、アナリストをベンチ裏に配置する「オン・ザ・ベンチ」という新企画を導入した。アマゾンはLEDスタジオコートを活用し、詳細な戦術分析の場を設けている。ESPNはTNTスポーツとの合意を通じて「インサイド・ザ・NBA」を自局の中継に組み込み、視聴者になじみのあるスタジオ番組を残した。

地上波枠の拡大と視聴率の改善

放映戦略の柱の一つが、地上波テレビの露出拡大である。NBCとABCでの地上波放送は、前季の75試合から今季90試合に増加した。旧契約の最終シーズンは19試合にとどまっていたため、大幅な拡大といえる。

この取り組みは数字にも表れている。新契約1年目のレギュラーシーズンでは、全パートナー局の合計視聴率が前年比16%増となった。スパーズ対サンダーのウェスタン・カンファレンス・ファイナルは平均1080万人の視聴者を集めた。

スター選手の認知拡大という狙い

NBAはこうした放映戦略を、大都市以外のスター選手の認知度向上にも結びつけようとしている。安定した露出があれば、シェイ・ギルジャス・アレクサンダー、ビクター・ウェンバンヤマ、アンソニー・エドワーズといった次世代のスター選手を視聴者が知る機会が増える。

ただし課題も残る。地上波、ケーブル、ストリーミングと視聴手段が分散したことで、ファンが試合にたどり着くまでの動線は複雑になった。中継の質を高めても、そもそも視聴者が試合を見つけられなければ効果は限定的である。放送内容の改善とアクセスの簡素化を両輪で進められるかが、今後の焦点となる。